アンリ・ノーダン・フェランの古典ライン。現在このラインは昔からの顧客のために造られており生産量は50%以下。開けてみるとまさに古典的な風味で現在のシャルドネには見られない実に懐かしい風味だが、これがまた魅力的に感じてしまう。ワイン会で開けたのだが皆がこれは良いと興味深げに。質だけを追求したワインも悪くないのだがこういったワインについつい反応してしまうワイン好きが多い。
シャトー・トゥール・デュ・オー・ムーランはバック・ヴィンテージのワインが時々日本に入荷してくるがかなり魅力的なために人気が高い。しかし今回のワインはまずラフィネが輸入しているために非常にコンディションが良いと言うところを見逃してはならない。抜栓すると直後から見事な熟成感を感じ、ボディーもしっかりとしていてかなり美味しい状態。ふっくらとした古典的な味わいが1980年代の魅力的なボルドーを思い起こさせる。当然ランシュ・バージュのような見事な魅力は無いにしても、その当時のリーズナブル系で秀逸なボルドーの魅力を持っており、今時こんなワインが手に入るんだとちょっと嬉しくなるような姿である。抜栓してからも落ちるようなことはなくまだまだ先があるワインで今飲んでも寝かせても良いし価格もこんなに安いわけで今最もコスパの高いワインであることは明らか!!
ピーター・フラヌスではジンファンデルにおいてその名をとどろかせ、アメリカのジンファンデルとしてはトップ3に入る造り手。前回のロットよりも今回の方が遙かに状態が良くこれは見逃せない存在。このレッドは毎年最も良かった樽だけをブレンドして造られるワイン。ボルドー的なニュアンスもあるのだが非常に目の細かい驚くほど柔らかい酒質が特徴でこんな姿のワインはある意味アメリカでなければあり得ない。
レオン・バラルは生産量が多いのに世界中の需要をまかないきれないほどの人気を誇るラングドック&ルーションでは特別の存在といってよい造り手。その魅力の高さはフランス全土を見回してもトップクラスであることは周知の事実だ。ただあっけにとられるほどに単純に美味しいので意外とその魅力の高さが認識されていない事実もある。それだけ単純に美味しいと言うことは高尚さがないととらえられる傾向がある。しかしである。彼のワインはリリース直後に飲んでも美味しいために意外とその深さを楽しむためには寝かせることが必要なのである。そして今このワインは最高潮に開き始めた。もう単純に美味しいというレベルではない。まさに絶品である!!
シャトー・ディケムが造るソーテルヌであるが、驚くほどディケムに似ていると言うことで知る人ぞ知る存在だ。ソーテルヌは状態の良いものだと驚くほど酸があり美味しいのだが熟成という時間を考えると若いワインを購入する際はいつ飲めるのか考えた上でないと購入できない。糖度が非常に高いために砂糖が保存料の代わりになることを考えると酸化にはある程度強いが酸化の加減が問題になってくる。このファルグはけっして最高の状態ではないが許容できる状態。色合いも飲むごとに入ってきており、ファルグらしい魅力が充満している。抜栓してからも2週間は大きな落ち方もしないために重宝するのではないだろうか。
オレゴンのワインはアメリカの中でも実に特殊な存在である意味ブルゴーニュ的ニュアンスの酸がしっかりとした果実味が濃すぎないワインが多い。ブルゴーニュに比べると深さが足りないといってしまえばそれまでだが完成度の高い世界はカリフォルニアよりも持続して飲める魅力がある。このワインは熟成を経て果実味の魅力の濃さはなくなってきているが涼しげでまさにこの季節にぴったりな姿になっている。
ロベール・シュヴィヨン、ニュイ・サン・ジョルジュにおいてこれほどテロワールを見事に反映し美味しさに溢れたワインはそうないだろう。ブルゴーニュ好きの中では非常に人気のあるワインだが、この地域の造りでだけにグラン・クリュを所有していないという理由だけで見過ごす人たちもいるだろう。2012年まさに彼のワインも実に質感が良く村名の古木で造られたワインだけに今開けても堅さはなく果実の凝縮された部分に若さを感じる状態。時間と共にちゃんと開いてきて1級畑と比べると見劣りはする物の今飲むのならばこの畑が最も良いだろう。
ブルゴーニュにおいて通から圧倒的な支持を受けるロベール・シュヴィヨン。2011年は例外的に早熟で見事な姿をしていますが、数ヶ月前変化の時期を迎え初めちょっとアンバランスな雰囲気がしたために試飲を控えていましたが、先日開けてみると派手さこそ影を潜めた物の複雑さが出始めしみじみと美味しさが伝わるような姿に変化。ニュイ・サン・ジョルジュらしい土の感じに酵母から来る魅力的なシュヴィヨンらしい風味が実に良い。若干酸化防止剤が多いような気がしますが、それがあっても魅力が勝っています。
毎年酸が非常に強くびしっとした緊張感に溢れるジャンティアルだが、2012年を飲んで驚いた。村名のリュリーなのに2012年の特徴的な上品な凝縮感があり旨みが凄くとても村名クラスとは思えないようなハッとする感動的な美味しさ。まさか!という味わい。正直舐めてました。まだ飲めないだろうなとか、理解している通りの味わいなんだろうな、などと。
フィリップ・リヴェラが作るワイン。以前このドメーヌは合田さんも関わったバレル・セレクションの一つにもなっていた造り手です。非常に酒質が柔らかく愛らしいワインで風味は若干セラファンに似ていて酒質はフレデリック・ミュニレのようなワイン。数ヶ月前還元臭が出ていたためにテイスティングを控えていましたが先日開けたら元も姿に戻っていました。以前より開き初め更に要素が出てきています。このワインは魅力的です。